バリュエーション
Valuation特定の事業や株式等の価値を算出するプロセス全体。企業価値評価または株式価値評価とも呼ぶ。評価手法は「インカム・アプローチ」「コスト・アプローチ」「マーケット・アプローチ」の 3 手法に区分され、算定される価値には 事業価値・企業価値・株式価値 等がある。
M&A・事業承継で使われる企業評価の用語を、実務準拠でわかりやすく解説します。 「事業価値(EV)」「株式価値」「正規化EBITDA」「マルチプル」など、 数字が苦手でも短時間で理解できるよう構成しました。
特定の事業や株式等の価値を算出するプロセス全体。企業価値評価または株式価値評価とも呼ぶ。評価手法は「インカム・アプローチ」「コスト・アプローチ」「マーケット・アプローチ」の 3 手法に区分され、算定される価値には 事業価値・企業価値・株式価値 等がある。
企業の事業そのものが生み出す価値。事業運営に使われている資産・収益力から算出される。マルチプル法では 正規化EBITDA × マルチプル、DCF 法では将来 FCF の割引現在価値として求める。企業価値の中核を成す。
計算式
事業価値 = 正規化EBITDA × マルチプル
例
正規化EBITDA 3,800万 × 7.5倍 = 2億8,500万円
事業価値に非事業用資産(現金・余剰不動産・投資有価証券等)を加えた、会社全体の価値。M&A では買い手が事業を引き継ぐときの総コストの目安となる。株式価値と有利子負債の合計にも等しい(企業価値 = 株式価値 + 有利子負債)。
計算式
企業価値 = 事業価値 + 非事業用資産
例
事業価値 2億8,500万 + 現金・預金 2,000万 = 企業価値 3億500万円
企業価値のうち株主に帰属する部分。株主は債権者(有利子負債の出し手)に劣後するため、企業価値から有利子負債を控除して算出する。M&A 売却時に実際にオーナー(株主)の手元に残る金額の目安で、経営者が最も関心を持つ数字。上場企業では時価総額に相当。
計算式
株式価値 = 企業価値 − 有利子負債
例
企業価値 3億500万 − 有利子負債 7,100万 = 株式価値 2億3,400万円
事業運営に直接関与していない資産。現金・預金(運転資金を超える部分)、余剰不動産、投資有価証券、ゴルフ会員権、長期貸付金など。企業価値の算出で事業価値に加算する。
会社を解散・清算した場合の価値。純資産ベースで算出する。継続前提(ゴーイング・コンサーン)のバリュエーションを下回る場合の最低限の参考値。PBR が 1 倍を下回るケースで参照される。
利払い前・税引き前・減価償却前・償却前利益。事業本来の稼ぐ力を見る指標で、業種・資本構成の違いを超えて比較しやすい。
計算式
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + 無形資産償却費
M&A 評価で使う「真の収益力」。一時的な費用やオーナー特有の支出(私的経費・過大役員報酬)を除いた、事業本来の稼ぐ力を表す。買い手が事業継続後に見込む EBITDA と整合する。
計算式
正規化EBITDA = EBITDA + オーナー過剰報酬 + 一時費用 + 私的経費 など
事業価値が EBITDA の何倍で売買されているかを示す指標。同業種の過去の M&A 取引データを基に算出し、業種・規模・成長率で大きく変動する。
例
日本M&Aセンター実績: 全業界平均 ×5.4 / SaaS ×8.0 / 飲食 ×4.0 / 医療 ×6.5
M&A 後に発生しない費用を利益に加算すること。オーナー個人の過大報酬・私的経費・一時費用などを「買い手視点での実質利益」に戻す処理。
例
役員報酬 3,000万円のうち市場水準 1,200万円との差額 1,800万円を足し戻し
将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を現在価値に割り引いて企業価値を算出する手法。マルチプル法と併用してクロスチェックするのが実務標準。
計算式
EV = Σ FCFₙ / (1 + WACC)ⁿ + ターミナルバリュー
加重平均資本コスト。DCF 法で将来 FCF を現在価値に割り引く率。無リスク金利 + 株式リスクプレミアム + サイズプレミアム + 業種リスク + レバレッジ調整で構成される。
例
中小企業 WACC 目安: IT/SaaS 12〜16% / 医療 10〜13% / 飲食 14〜20%
営業キャッシュフローから設備投資を差し引いた、事業が自由に使えるキャッシュ。DCF 法の入力値となる。
計算式
FCF ≒ EBITDA − 税金 − 設備投資 − 運転資本増減
DCF 予測期間(通常 5 年)以降の永続価値。永久成長率(通常 1〜3%)を使って計算し、DCF 評価額の大部分を占めることが多い。
計算式
TV = FCF₅ × (1 + g) / (WACC − g)
有利子負債から現金同等物を差し引いた実質の借金額。マイナスならネットキャッシュ(現金超過)。M&A 実務では役員借入金は実質資本として除外する。
計算式
Net Debt = 有利子負債 − 現金・預金 − 役員借入金
オーナー経営者が会社に貸し付けたお金。M&A 実務では実質資本として扱い、有利子負債から除外する。Equity Value 算出でバリュエーションが上方修正される効果を持つ。
M&A 実務では役員報酬を全額足し戻すのではなく、「市場水準を超える分のみ」を足し戻すのが正確。買い手は同規模の経営者を市場水準で雇うコスト相当が継続発生するため、その分を残して超過分だけ足し戻す。
例
年商 5 億の会社で役員報酬 3,000万円・市場水準 1,200万円 → 差額 1,800万円を足し戻し